2011年4月4日月曜日

真摯な姿勢が見えるかどうか その2

帰ってきた次男坊です。

昨日の続きです。

安心・安全が唯一の宣伝文句だった日本の野菜無くなってしまいました。
原発の爆発という直接的な影響で放射性物質が広範囲に拡散しました。
拡散した放射性物質は空気を汚し、作物に降り注いでたくさんの野菜を汚染しました。
そこで国は放射性物質の有無を検査することにしました。
暫定規制値を超えた野菜を出荷停止あるいは摂取制限としました。
当然、野菜を全部調べるわけにもいかないし、かといって数種類を調べただけで全ての野菜の安全性を担保することも出来ません。だから、事故現場に近い福島県全体に対して様子がわかるまで全ての農作業の延期を依頼しました。また、JAを始めとする各県の農政はいくつもの野菜の分析を依頼して地域の野菜の安全性を猛アピールしています。そのなかでも露地もの・ハウスもので数値が大きく変わることに着目し、ハウス栽培は安全だという論理を展開。(鹿沼の直売所においても「ハウスもの」と書いたポップが並ぶようになりました。)同時に暫定規制値が厳しすぎて農家が悲鳴をあげていると農政が訴え始めました。驚いたことに、国も基準が変えられないか検討するとか。(結局規制値は変わりませんでしたが)


もうね、ツッコミどころ満載で憂慮せずにはいられませ〜ん。

例えばね、残留農薬の分析で「野菜を水洗いしてから分析したので残留農薬はちょっとしか出ませんでしたよ、安心ですね。」って言われて消費者が納得するのかなぁ。野菜は食べる前に水洗いするのが普通だから、水洗いしてから放射性物質の量を測定することにしましたよーってのが国の見解です。

それと暫定規制値という「値」について。
そもそも原子力発電所から放射性物質が漏れ出すことはあり得ないというのが大前提で稼働しています。なので、放射能がこれくらいなら漏れてもOKだという基準を作れるはずはないんだと思うのです。
作業員の生死に関わる短時間の高濃度被曝ならともかく、今僕たちが受けているのは長期間の低濃度被曝ですからねぇ。各国・各団体によって考え方(裏付け)も違うし、基準値も違うのはそうした理由ではないかな。だから、今回国が定めた暫定規制値が正しい・間違っているってツッコミは正しくないと思います。

しかし、現実に規制値は必要なわけです。
だからそれなりの理由をつけて「暫定」の規制値を作ったわけですよね。
これに対して農政が「暫定規制値が厳しすぎる」とイチャモンつけてます。
とかく目先の行動をとろうとするのは農政の悪いクセです。
でもね、理由はどうであれ、決めた値を変更するにはそれ相応な理由(裏付けデータ)がなければなりません。これは絶対。それなのに、「農家が困っている」といった感情論にすりかえて変更を要請するなんてどうかしてます。感情で左右されてしまうような数値を誰が信じられるっていうのでしょう。

それと ハウス栽培=安全 という考え方。
露地栽培の野菜に比べてハウス栽培の放射性物質の量は少ないのは事実のようです。
しかしハウスだって換気をして空気の入れ替えをします。締め切っているわけじゃありません。
風に乗って放射性物質がハウスの中の野菜に付くのも当然のことです。
風向き次第でハウスの中に飛んでくる放射性物質の量も増えるだろうし。
今この瞬間も放射性物質は飛散し、少しずつでも地面に蓄積しています。
野菜の表面に付着した放射性物質ではなく、野菜の根から吸収された放射性物質がどれくらいあるのか。
ハウスものだって露地ものだって差がなくなっちゃうかもしれません。←これが一番怖い!!!
そうなったら「ハウスものは安全」とは言い切れません。
感情論で切る抜けていい問題じゃないです。
“ハウスもの”なんてポップに書いて野菜を売るなんてナンセンスです。

世界中で初めての大惨事。
発電所の事態が収拾した後も人体や海や大気や土壌への影響をずーっと追っていき、その時々の状態を見た上で「あの時の判断が正しかった or 正しくなかった」と判断を下すしかないところまで来てしまったみたいです。

残念だけどそういうことです。
もうね、悲観するしかないですよ。(笑)
何を信じていいのかわからなくなっちゃいましたよ。(笑)

こういう時はね、わからないことをわからないって伝えることが大事なんだと思うんです。
わからないことをわからないと国民に伝えるのは情けないことじゃないと思います。

「わからないけど、わからないなりに、いろいろと考えて、こういう結論を出しました。
 みなさん、この結論を守ってください。
 もし、間違えていたり、もっとよい結論がみつかったらきちんと説明します。」

国にはこれぐらいバカ正直になってもらいたい。
一国の問題じゃないところまできちゃいました。
国が真摯な対応をしなければ、国民は国を信じることが出来ません。

0 件のコメント:

コメントを投稿